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食べる。生きる。

  • 執筆者の写真: mata-ne
    mata-ne
  • 10月11日
  • 読了時間: 3分

更新日:4 日前

スタッフのひなです。


先日、鶏の命を頂きました。



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またね村には鶏がいます。

ボスが率いる先輩鶏7羽、今年の春に生まれた中堅鶏9羽と、そして同じく今年の春に生まれた末っ子が3羽。


みんな、毎日お世話をして毎日一緒に過ごしている大切な子たち。

特に先輩鶏を除いた12羽の鶏たちは、私が伊豆に越してきたすぐ後に、

スタッフの要お父さんを中心に卵から孵化させ、ひよこの頃から大事に見守ってきた鶏たちです。


今回は、現在の鶏たちの雌雄のバランスと今後のことを考慮して、中堅鶏から雄3羽の命を頂くことになりました。




まずは、小屋の中にいる鶏を羽交締めにして、ロープで片足を吊るすところから始まります。

鶏たちがいつもより激しく逃げ回っているように感じて、「きっと考えすぎだ、さっと捕まえてあげなきゃ」と頭では分かっていても躊躇してしまう心と体。


羽交締めにしてから命をなくすまでは、鶏が出来る限り穏やかにいられるように手で目を覆います。


顔を覆ってやりながら両手で鶏を抱えていると、「ふぅ…ふぅ…」と聞こえてくる荒い息遣いとあったかくて少し震えている体。

あんなに毎日駆け回っている姿を近くで見ていたつもりだったのに、

こんなにも鶏の息遣いを近くに感じたことは初めてで、

理解しているつもりだった彼らの命の重さを、ずっしりと肌で感じた瞬間でした。


ロープで片足を吊るすと、逆さになった鶏の頭に血が上ってきて、だんだんと静かになってきます。

少し落ち着いてきたら、いよいよ動脈にナイフを入れて命をいただきます。

「出来るだけ苦しまないように、出来る限り早く楽になれるように」と、羽を掻き分け何度もナイフを入れる場所を探っていたのですが、いざナイフを持つと震えてしまう手。

それまで時々「コッコッ」と声を出したり身を捩ったりしていたのに、首筋にナイフを入れようとした瞬間、諦めたように「…フゥ。」と吐いた息が聞こえた気がしました。


その時ようやく「私は今からこの子の命を頂くんだ。」と覚悟が決まったものの、うまく力が入らず、なかなか思うように進まず苦戦する中、やっと鶏は息を引き取りました。



血が流れ始めてから命を手放すまでの数分間。

いろいろなことが頭をよぎって涙が溢れてしまいそうになったけれど、

「泣いたらダメだ!泣いたらこの子の命が無駄になってしまう、きちんと命をリレーできなくなってしまう」と、反射的にそう思いました。

それは、同情や可哀想という後ろ向きな気持ちで命を頂くのではなく、

ありがとう、あなたの命があったから私がこれから生きていける、という前向きな気持ちで、このひとつの命を未来に繋いでいきたいと思ったからです。


何十分にも感じた数分間、命が尽きていく様をまっすぐな感謝の気持ちをもって見届けました。


その後、可能な限り美味しい状態で命をいただけるよう丁寧に処理をし、丁寧に捌き、

肉から内臓、鶏冠、骨まで出来る限り余すことなく美味しくいただきました。

引き締まった筋肉に強い腱、頑丈な骨。

またね村で過ごした日々は、健やかで自由なものだったかな、と思いを馳せる時間でもありました。





動物、植物、全て同じ命。


大切なのは、『何を食べるか』ではなく、『どう頂くか、どんな気持ちや姿勢で頂くか』なのではないかと感じます。


今、私たちが食べている食べ物は、必ずどこかで誰かがこうして大切に育てて私たちの元へ届けてくれています。


口にするもの最初から最後まで全て自分の手で、というわけにはいかないかもしれないけれど、

その命を頂くとき、

少しでもその背後に思いを馳せて、命に真正面からの感謝をもつ気持ちを忘れずに生きていきたいと思います。

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